
2.3 アンケート・ヒアリング調査のまとめ
2.1項、2.2項でアンケート調査およびヒアリング調査の実施とその結果について述べたが、ここではそれらの調査の結果から、気象・波浪情報の入手、利用、活用さらに現状での問題点、今後の課題についてまとめた。
2.3.1 気象波浪情報入手の実態
気象・波浪情報は、調査を実施した各機関のうち97%にあたる機関が利用しており、また、現在利用していない機関でも良い情報であれば利用したい意向を示し、これらの情報は欠かすことのできない情報として受け止められている。
情報の入手目的は、業種によっておのずと異なってくるが、全体的には工程管理(安全管理)、船舶航行、船舶係留といった港湾における実務的な目的で入手されることが多く、その他では、港湾言計画、防災、船舶設計等の目的で入手されている。
入手方法や入手情報の種類は、港湾における実務的色合いの濃さ、地域性によって左右されるが、情報の必要性の高いところでは独自の観測十あらゆる情報の収集を実施し、そのためのオンライン化、システム化を計っている。また逆に、台風等の異常時のみ情報を収集するところでは、電話、FAX等によれば十分と考えている。全体的にみれば、入手方法はTV、ラジオ等のマスコミを通じてのものが多く、次いで気象FAX、情報会社との契約となっている。入手情報の種類では、台風関係の情報入手が最も多かったが、実況天気から波浪予測に至るまで全て60〜87%の機関が入手しており、全ての情報に対し関心が高いといえよう。
入手情報の期間では、現在の情報、1日後の情報、2〜3日後の情報に順に入手する頻度が高く、この傾向は気象、波浪の両方にみられ、現況から3日後位までの予測情報の二一ズが高いといえよう。
2.3.2 気象波浪情報利用の実態
全体では半数が状況の把握に、半数が何らかの分析を行い活動の判断材料として利用している結果が得られた。分析を行うところでは、大体において活動のための基準値がもうけられ、実況データと予測データから判断を下している。この基準値は、業種、作業内容によって当然異なるが、例えば海上工事等に関連するところでは工事の関係上2日程度の静穏状態を必要とすることも有り、その間の値を推測する上でも波浪予測が重要視され、しかも基準値に対する誤差を10?程度としており、現状の波浪予測では必ずしも予測精度が高いとは言い難く、この分野では波浪予測に対する信頼度がやや劣っている。
また、海運関係では、外洋船の性能からみても基準値に対する誤差の許容範囲は大きく、この業界ではおおむね気象・波浪情報の信頼度が高い結果が得られている。
このように評価は分かれるものの、どの業界においても気象・波浪情報は活発に利用されているのが現状といえる。
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